ミステリーショッパーで良質な報告書を提出する方法とメリット

覆面調査と抜き打ち検査というのは、似た側面があります。どちらも受ける側に知らされず、突如として行われる所が最大の特徴でしょう。どちらの調査も知られてしまっては、受ける側が準備を整えてしまい意味をなさないからです。ですが、受ける側としては面白くない所もありましょう。それが国規定の穀物検査の様な場合なら、相手も言い訳が効かず問答無用で済みますが…「アラ探し」と言われてしまうと、多少腰が引けてしまう事もありますね?

実際に良質な報告書とは?

突き詰めて行けば「クライアント(調査を依頼した企業)に喜ばれる報告書」が、良質な報告書という事になります。もちろん、選択方式で前のチェックと後ろのチェックで矛盾が生じてしまったり、記述式に於いて誤字脱字が多かったり、和訳した日本文の様な不自然さを感じる文章、分かりづらい文章は論外であり、喜ばれる以前の話となりますが…。

では、喜ばれる報告書とはどの様なものなのでしょう。それは、全体を見て「良い点・改善点」の比率が2:1になる報告書という事です。この比率が黄金比率だそうで、実際に接客を受けて心に響いた事などが2、ここは改善の余地ありと思う所が1となります。ミステリーショッパーは主に改善点を探すのが仕事と思い、ついつい問題を見つける事に力を注ぎがちですが、実はそちらは1で良かったという事なのですね。

しかし、それを踏まえてですが良い点と言うのはなかなか探しにくいものの様です。悪い点については退店後もシッカリと覚えていられる様ですが、良い点となると余り印象に残らず、そこでついつい厳しい評価になる、という事でもある様なのです。しかも、悪い点の方では改善や提案も盛り込まなくてはならない為、そちらに神経を使い果たし、良い点は漠然とした抽象的な表現に留まってしまうというのが実状だと思います

経験者の話だと「お店や接客の良い所をしっかりと見よう」と意識する事が大事だと言います。意識して見て来ないと、具体的に褒めるのはなかなか難しいそうです。前述した通り、ただ漠然と抽象的に褒めても、相手には伝わらず納得を得られない、という事ですね。

他にも、差し戻されない為の報告書作成には色々なノウハウがある様ですが、ここではもう一つ記述式時の表現についてを取り上げようと思います。何故ならミステリーショッパーの皆さんが、一番苦労する部分であるとして体験談でも多く見受けられるからです。

良く見られるのが、飲食店での表現で単に「美味しかった」ではダメですよ、という注意勧告です。もちろん、その他販売店などでも「良かった。素晴らしかった」はNG間違いなしという所でしょう。そこで例えば「お肉が美味しい」という表現で考えてみたいと思います。このお肉に飾ってあげる言葉や理由付けしてあげる説明を加えたらどうでしょう。まずは、視覚を通して「厚みがシッカリとしていて、食べ応えがありそうなお肉」となります。次に味覚を入れ「柔らかくてジューシーなお肉」または「やや硬めだったが、肉本来の香りがして肉汁たっぷりのお肉」などとなります。つまり、視覚や味覚、場合によっては聴覚を駆使して集めた情報を、単語(この場合は肉)にくっつけてあげるという事です。いかがでしょう?寂しいお肉に、色が付いたり香りが立ったりしませんか?

文面だけで報告書を受け取る側は相手の表情を見る事もできませんので「美味しいお肉」では何も汲み取れず、手抜きしている様にしか感じないのは仕方のない事だと思います。

とはいえ、やはり長く続けている人達が必ず最後に口を揃えて言うのは「仕事なのだからキチンと仕上げなくてはいけない」「相手(企業)が調査で何を望んでいるかを考える」「少しでも改善の役に立つ様に詳細を書く」といった事です。良質な報告書とは、そういった責任感とか相手の立場を考える姿勢で、奮闘しながらも経験を積み、一生懸命に取り組んだ形跡が至る所に見られる報告書なのかもしれません。

アラ探しはNGだがヨイショする必要もナシ

あるミステリーショッパーの人が「接客でひどい目に合った。褒めなきゃいけないのは分かっているが、どうしたって褒めようがない。どうしたら良いのか…」という様な事で悩んでいました。

確かに「アラ探しはNG」と言いますが、これは果たしてアラ探しでしょうか?逆にひどい接客を放置していたら、ミステリーショッパーの役目はどうなるのでしょう?依頼している側の企業も、従業員の良い点を見て欲しいと思う所はあるでしょうが、あくまでサービス改善、向上が目的です。そして最終的に、売上向上へ繋げなければ、わざわざお金を払って覆面調査などしないと思います。では、この接客を知らずにいる事が依頼企業側の利益になるでしょうか。

答えはNOでしょう。どうしたって褒めようがない接客を、一生懸命に褒めちぎってしまえば、その時点でミステリーショッパーの仕事は成立しなくなりますから。こうした接客はいずれ必ずクレームになります。その時、褒められていた報告書と矛盾が出てしまい、頑張って褒めたミステリーショッパーの評価にまで影響が出兼ねませんし、ひどい接客を放置していた時間は企業側のマイナスにもなってしまいます。これは確実に褒めてはいけない事例だと思います。

前述しましたが2:1で褒めるという事であれば、全部を褒める必要はない訳で、ひどい所は改善されなければ意味をなしません。

多分、問題点を見つけ様と力むあまりに、ミステリーショッパーの「あら探し」的イメージが強くなってしまったのだと思います。良い所も探し、改善点も指摘する、バランスを以って仕事を推進すれば問題はないのだと考えます。無理やりのヨイショは、必要性が全く無いと思います。

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結果として得られるメリットは?

真剣に良質な報告書を作成するべく取り組み、客観的な目線を以てして公平に評価を出すよう努力するミステリーショッパーは、調査会社にとっても貴重な存在になっているはずです。

調査会社によっては、ミステリーショッパーをランク分けしている所もあり、こうした努力の積み重ねはランクにも反映してくるだろうと思います。また、高額の謝礼がつく様な案件は、調査項目の量が多く比例して報告書の数量もかさむ為、調査会社から直に優秀なミステリーショッパーに依頼が来る事が多いそうです。この様な案件の依頼が来るようになれば、それは会社に信頼されている証拠ですし、力量の証とも言えましょう。

もちろん、通常の謝礼より高額になるので懐も暖まります。なにより、仕事に自信と誇りが持てる様になり、それが更なる努力に結び付くのではないでしょうか。
そうした相乗効果により、益々腕は上がって行くものと思います。

結果として得られるメリットは、誰もが貰えるものではない仕事を信頼により与えられる権利と、それによってお金では買えない貴重な経験を体験できる事なのではないでしょうか。

優先的に仕事を貰えたり、選ばれて仕事を依頼されるというのは、どんな仕事でも凄い事ですよね。

まとめ

テレビで紹介された事も手伝って、この所、ミステリーショッパーの仕事がだいぶ認識され始め、従事者にとっては多少やりにくい状況になって来た様に思われます。この様な時代ですので「ミステリーショッパーの見分け方」など、様々な情報も飛び交っておりますし…。

この状況をどう切り抜けるかは、調査会社よりも当のミステリーショッパー自身の力量に掛かってくるものと思います。大量発生的に増えている従事者の中で、生き残りが試される時ではないでしょうか。

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