覆面調査の目的って何?得られるメリットや注意点などについても解説
覆面調査の目的と聞くと、秘密裏に行われる内部査察のようなダークな印象を持つ方もおられるかもしれません。端的に説明いたしますと、今の調査はそんなものではありません。調査は組織をより良くさらに向上させるために必要なもの、つまり覆面調査の目的は組織を改善するためのものなのです。
なによりどのような調査が行われているのか、具体的な内容を知れば、その良さを十分感じられることでしょう。そこでこちらでは、覆面調査を行う目的について深堀してご紹介します。
今現在を知ること、そして見えぬ問題点を浮き彫りにすることは、新しいい一歩を歩むために当然必要なことです。
覆面調査の目的
今を知るという目的
覆面調査自体の目的で最も重要な部分は、今現在を知るというところにあります。覆面調査は消費の世界において、今、何が注目され、消費者はどんなものを多く手に取るのか、その部分をより強くフォーカスするところにあります。
計上される数字だけでは推し量ることのできない、注目に対する数字を明確にするためには、現場にある姿を捉えることが一番です。今、現場ではどんなものが注目されているのか、消費者は何を思い商品を選んでいるのか、これらを調査する、つまり今の現場を知るということが最大の目的といえます。
環境を俯瞰で見る目的
現場を見るということ以外の覆面調査を行う目的は、今ある環境を第三者の目で、問題点が無いのか見るという目的です。その中で日々を活動する人では見つけられない問題点というのはどの組織においても多く存在するもの。この点で、第三者の目で組織を俯瞰で見ることは、現時点の問題点を改善する糸口を発見することにもつながります。
どんな組織にも、成長は必要なことです。そして成長するためには、組織の中に生じる小さな問題点も見逃せないものです。自浄機能を信用し、自分達だけで組織改善を図れると思っていると、重要な問題点を見逃してしまうおそれもあります。
覆面調査ではこうした問題点も余すことなく発見できるという良さがあるのです。
顧客満足度の上昇
覆面調査実施する目的の中で、組織側として一番必要な部分ともいえることですが、サービスの提供を受けた側の満足度を理解することはとても重要なこと。しかし、顧客満足度というのは、意外とリサーチが難しい部分でもあります。
提供側から敢えて確認するタイミングにも配慮が必要でしょうし、実際提供を受けた側も塩梅良いタイミングで回答する手段が無いということもあります。
この点、覆面調査会社が、別口としてその顧客満足度を調査することで、客観的な声を集約することができます。
覆面調査で得られるメリット
サービス力の向上
調査を行うことで、消費者の声を確認することは覆面調査としてとても重要な目的でもありますが、これはメリットにもつながることです。消費者の声を集めると、意外に見えていなかった部分が明らかとなることは多々あります。
例えば、提供する側は消費者のためにと思って設置したベンチ、しかし消費者側にはその位置が悪く、座りづらいと感じていた等のように、相手のことを思って準備したものが使う側にはちょっと勝手が悪かったということはありましょう。
こうした点を細かく調査することで、消費者が欲しいと思っていたサービスは明確になります。そうした調査の結果を踏まえることで、今後のサービスの質を上げ、より良いサービス提供につなげることになります。
必要とされるモノを明確にできる
覆面調査を行うことにより、どんなものが必要とされているのかが明確に数値化されます。数字で表れるということは、現実的な必要の度合いも判断できるということです。新商品が売れているのか、それとも新商品もあるのに従来品の方が売れているのか、これこそ数値で表される必要度合いです。
何が必要かを組織全体が把握できれば、その分現場と組織との温度差も減り、組織が一丸となって改善策を講じることにも繋がります。
目標を明確に成長できる人材育成ができる
人はおぼろげな目標では、成長のスピードも遅くなりがちです。ある程度明確な目標があることは、人としての成長にも大きな影響を与え、それは総じて優秀な人材を育成することにも繋がります。覆面調査によって出てくる問題点の洗い出しは、組織の中での問題分子を改善することにつながり、それが改善されることは、組織で働く人材の成長にもつながります。
人勢の成長が情操されれば、組織全体の成長ともなりえます。
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実際覆面調査員は信用できる?
研修を受けた調査員による実施
覆面調査での目的は明確な組織の問題の洗い出し、そして市場調査にあります。そのうえで、重要なのはこうしたデリケートな調査であるからこそ、覆面調査員の調査は信用できるものなのか、ムラや矛盾が生じる調査結果になるのなら、頼んでも意味がないのではという不安もありましょう。
こうした点に関して、よりデリケートな調査に関しては、調査を実施する調査員はより高度な研修を受けています。研修の受講が調査への資格となっている案件もある程です。覆面調査会社やその市場は、調査の質を重要視しています。
調査を依頼する側の信用は、この業界全体の重要案件でもあるからです。つまり受ける側の調査会社自体も、自身のプライドのため、信用できる調査員を配置しており、信用に問題はありません。
随時レスポンスで不安軽減
調査を依頼する側というのは、今市場ではどんな調査が行われているのか、不安になることもありましょう。またどんな調査結果が出ているのか、随時その内容が知りたいという場合もあります。
こうしたクライアントの気持ちを解消させるため、覆面調査の多くは、一定の期間にその調査の途中経過をレスポンスしています。今現在の状態を、ある程度数値が集まればその都度、報告しているのです。
報告内容によってはその後の調査の方向性を変更することもできます。
覆面調査を行う際の注意点
覆面調査を実施することで、その後の組織の改善、品質の向上といった様々な目標が生じましょう。しかし、ここで忘れてならないのは、覆面調査を行う際のいくつかの注意点です。そんな覆面調査にまつわる注意点について、いくつかご紹介します。
覆面で行われる調査であることを忘れない
明示されているとおりこの調査は覆面調査です。つまり調査が行われていることが公言されてしまえば、覆面とはなりません。殊更に秘密裡に行われることはありませんが、とはいえ、やはりそこは組織でも少数の人間しか知らないというのが望ましいでしょう。覆面調査の実施は、組織内でもあまり明らかとせず、いつもどおりにすることです。
なにより人は見られていると感じてしまうと、本来の姿を見せないものです。意識していなくても、普段のありのままの姿を見せてもらえなければ覆面調査の本来の目的から離れてしまいます。調査は覆面で行われていることを忘れないようにしましょう。
調査の目的を明確に
覆面調査目的は、その組織の今後の向上を願って行われています。つまり目的が明確でなければ、どんな調査を行うべきか、そもそもその部分がはっきりしません。例えば何となく、うちの店を良くしたいんだけどといった、そんな漠然とした目的では、調査を行っても明確な問題点を浮き彫りにしづらいもの。
例えば、スタッフの勤務内容に問題点は無いのか、サービスの際のわずらわしさはどこなのか、店内の装飾はイメージと合っているのか、などある程度方向や目的が明確であることが望ましいのです。こうした目的であれば、調査によって今後の向上の必要性も見出せます。
自分達本位ではなく主体のために
覆面調査はそのサービスを提供するフィールドを調査するものですが、それはあくまでもサービスの提供を受ける側がより安心して、そして必要とするものを得られる環境を整えるために存在するものです。サービスを提供する側が主体のように見えますが、あくまでも主体となるのは消費者なのです。
つまりサービス提供側が自分達本位になっていないか、その環境が将来にわたって業界全体の向上のためにも努力することを後押しする調査です。自分達のやり方を押し通したいから覆面調査会社に後押ししてもらいたいというのでは、そもそも覆面調査とはいえません。
よりよいサービスを提供する環境を図る組織のために覆面調査は存在しています。
覆面調査を依頼する際の流れ
対象となるフィールドの調査
覆面調査を依頼される際の一連の流れとして、まずは対象となるフィールドに対する調査が行われます。もちろん調査依頼の際にも、どういったフィールドに対してどのような調査の必要があるのか、こうした聞き取りが行われます。
その聞き取りと方向性を受けて、調査自体の計画が進めらるのです。これはまだ調査の前段であり、いわば事前査察といったところでもあります。
調査を行う調査員の研修
次に調査内容によって、実際に調査を行う調査員への研修が始まります。より高度な環境での調査であれば、この研修もより高度となります。またこの際には調査依頼の際に受けた環境への聞き取りも重要な内容となります。調査依頼の際には依頼時の聞き取りこそが、今後の調査の結果に大きな影響となることを念頭にご説明頂くのが一番でしょう。
調査の実査
調査員による研修が終われば、いよいよ調査です。調査の項目や内容によっては、調査の実施には数日かかる場合もあります。また同時に調査内容に関してのレポート作成も行われます。レポートはその調査内容によって、すぐに提出される場合とその後数日必要な場合があります。
分析とアフターサービス
単に調査結果の報告という場合だけでなく、多くの覆面調査では調査依頼の内容に沿って、その調査内容の報告と併せて、問題点の改善方法についても分析しています。分析内容は客観的な意見が盛り込まれているものですから、組織の今後にも大きな力添えとなるものです。
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まとめ
覆面調査の目的は、組織のより良い改善、また今潜在化している問題点の浮き出しにあります。自分達で自浄機能があると思い込んでいるだけでは、より良い組織の形成には至らないものです。
覆面調査を実施することで、自社の現状をまずは把握し、その中にある課題を知ることができます。問題点や課題が見つかれば、その後の目標が明確になり、自分達の組織の活性化にもつながるということです。自社の接客やサービス内容が本当にお客様にとってより良いものであるのか?顧客満足度向上のために、覆面調査を利用する企業が増えています。