ミステリーショッパーは難しい?明確な評価基準で調査する事が大切!
企業社内部だけでは見えて来ない、問題の発見や改善点を、覆面調査をする事で迅速に解決している会社が多々あると聞きます。今や覆面調査は、企業発展の鍵を握ると言っても過言ではなくなっている様です。古くは従業員などの不正を、防ぐ目的で使用されていたそうですが、現代では従業員教育や意識改革の為に有効活用されています。もちろん顧客の満足度アップにも繋がるので、企業、顧客の双方にとっても良い取り組みと言えそうです。
調査の目的をはっきり持つ事が大切
これは調査会社に依頼する側の話となりますが、誰の為に何を目指しての調査なのか「目的」をハッキリさせる事が肝要となります。それにより何を調べるのかが決定され、評価基準や調査項目も決められます。そして、どの様なミステリーショッパーが適切かも検討される流れになって行きます。
最終目標は当然「売り上げの向上」という事になるでしょうが、例えば、そこに繋げる為に「自社のサービス改善、従業員の教育向上を目的として調査を活用したい」のか、または「自社と他社を比較して戦略上の情報収集をしたい」のかという様な目的別で、次の評価基準や調査項目が変わって来ます。ここを曖昧にしたまま評価基準や調査項目を決める事は、調査自体が曖昧なものとなってしまう恐れがある様ですので、ここはシッカリと押さえておきたい所でしょう。
またその調査により「従業員のモチベーションを上げてサービス改善、教育向上に取り組みたい」のであれば、良い面に注目をしたポジティブな調査にする必要がありますでしょうし、それよりも「迅速な問題発見によって、改善を推進したい」というのであれば、またそこで評価基準、調査項目は違って来ることになります。
そこを明確に決める事で、最終的にどの様なミステリーショッパーを使用したら良いかが検討される事になりましょう。例えば、お客様目線を第1に考えモニター型の調査にしたいのであれば、お客様目線に近い一般人のミステリーショッパーを使用する事が良いと思われます。ただ、この場合は詳細な専門知識は期待できないという短所があります。或いは、もう1段階上の専門知識を有する者の視点から厳しくチェックを入れたいのであれば、自社の社員、プロのミステリーショッパーを使用する事が好ましいと言えましょう。ただし、こちらの場合も予算が掛かったり、バレやすかったりと短所はあります。
しかし長、短所あるにせよ、どちらの場合に於いても大切なのは「目的」が何であるかを依頼会社とミステリーショッパーがシッカリ共有するという事でしょう。そこの所を抜かして調査させれば、ミステリーショッパーの仕事は漠然とした調査になり、非常に難しいものとなってしまい兼ねません。〇×形式、選択形式ならまだしも、記述式では求める回答が得られない事もあり得ます。
明確な評価基準の重要性
次の段階での「評価基準設定」も非常に重要です。何故なら、第1に評価基準が曖昧なまま適当に評価されれば、評価された側に不満が募る事態となり兼ねません。例えば清掃にしても人の感じ方はマチマチです。「十分に清潔だ」と感じる人がいれば、同じ場所でも潔癖症の為「隅にホコリが残っているので不十分だ」と感じる人もいるという事です。
ここの所を、誰が評価してもバラつきがない、という評価基準に仕立てなければいけません。どこまでが許容範囲で、どこからがNGなのかの線引きをハッキリする事が大切です。
第2に、評価基準が曖昧で評価にバラつきのある調査は信頼性が疑われます。そうしない為に、人の感じ方や考え方だけに頼る「主観的基準」のみではなく、個人の意見から独立し事実だけを注視する「客観的基準」も設ける事が必要だと思われます。例えば、時間に関しても「長く感じた、短く感じた」ではなく「何分以内ならOK」と基準設定すれば「何分何十秒かかった」と明確な答えを要求できます。
ただし全てが客観的基準だけでは、詳細で微妙な回答を得られない事があるのも確かです。〇か×かでは、その中間がありませんので「ここを少し改善すれば、かなり良くなる」といった改善策を講じるのも難しいでしょう。選択式を5段階に設けても「良い、かなり良い、普通、やや悪い、悪い」といった事項では、改善の提案を得られない事は確かです。ここで役立つのが、記述式の回答になりますね。記述式はかなり主観的の方へ偏りますから、バランス良く主観的基準と客観的基準を設ける事が必要だと言えるでしょう。
こうする事により、調査する側も正確な回答を得られ、調査を受ける側も客観的基準を設けられているので不満も少なく、言い訳も効かなくなり、改善の速度は効率良く上がるものと思われます。
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何を調べたいかによる適切な項目を
こうして目的がハッキリし、評価基準を明確にしたら、それらに添い「何を調べたいのか」を最終的に割り出して適切な項目を設定すれば良い訳です。ですが、何でもかんでも調べまくれば良いという訳でもありません。調査項目が膨大化してしまえば、逆に調査自体が困難になります。その上、不必要な項目が多すぎると、肝心の必要情報の抜け、モレに繋がる原因となってしまい兼ねません。しかも往々にして、不必要な情報は活用されない事が多い様です。
この様な事からも、必要な情報はシッカリと組み込み、不必要なモノはそぎ落として行く作業が重要だと思われます。結果として、適切な項目の設定に仕上がり、活用し易い調査にもなり、調査の成功へも繋がります。
もちろん、何が必要な項目かは案件ごとに違うものなのですが、項目作りに於いて「人・モノ・環境」と分けて設定する方法はよりスムーズに作業できる様に感じます。例えば「人」なら、身だしなみと接客。そこから更に枝分かれして、より詳細な項目へ続きます。「モノ」なら料理や品物の品質。「環境」なら雰囲気や清潔度、といった具合です。
因みに、一般人のミステリーショッパーによる体験談で「名札が見えづらかった」という事をよく聞きます。これも項目の一つで「従業員の名札を見て、その接客態度を評価する」というのがある様です。名札が見えづらかった、或いは隠れていて見えなかったので名前が分からなかった、と仕方なく報告書に書いたとありましたが、この場合、従業員は何の為に名札をしているのかを理解していないと判断できます。名札を付けている以上、名前を明らかにして自分の仕事に責任を持つ、という事でしょう。つまり名札一つにしても、従業員の仕事に対する責任感、サービスに従事する姿勢が見て取れる訳ですね。
小さい事の様ですが、そこから笑顔で応対できているか?などの質問と同等の情報が読み取れるという事です。一般人のミステリーショッパーの報告には、報告した当の本人が意識していない情報が盛り込まれている場合もあるという事でしょう。そういった事も意識して、項目の回答のみならず根こそぎ情報を得る姿勢が、調査の質を高める事に役立ちそうです。
まとめ
調査項目は、煩瑣で膨大なほど効果があると勘違いされがちですが、実は逆効果だと言います。あまりに多量の検査項目では、ミステリーショッパーの仕事を困難にするばかりか、仕事の質自体が広く浅くになり兼ねません。
思い切って取捨選択をし、適切な項目の設定をする事が、成功には不可欠だという事です。是非、上手にミステリーショッパーを利用し、活用してより良いサービスの向上に努めて欲しいと思います。
しいては、それが顧客側のメリットにも繋がる訳ですので、各分野の店舗を利用する身としては応援を惜しみません。