覆面調査のやり方を徹底解説!調査範囲や調査会社を選ぶポイントも紹介

覆面調査は一般客に扮した調査員がお店に来店し、実際にサービスや接客を受けた上でその内容を評価するというもので、チェーン展開する大手の企業から小規模店舗まで多くの企業が利用しています。

覆面調査を行うきっかけは様々ですが、営業成績の低迷や新規開拓の頭打ち感など、これまで通りの戦略や対策では結果が出ないと感じた場合に導入される事例が多くみられます。

新規キャンペーンの展開や新商品販売など、顧客の反応から課題を探りたい場合に活用されることもありますが、社員の評価システムのツールとして利用し、労働意欲を刺激するために導入する企業もあります。

覆面調査のやり方や依頼する会社の選び方、注意点などをまとめましたので、参考にして下さい。

覆面調査のやり方・流れ

覆面調査には自社で調査を行う方法と、覆面調査を行う会社に依頼する方法とがあります。
自社で行う場合も依頼する場合も、従業員には不定期に調査が入る旨を告知しておいた方が、従業員と会社との信頼関係を保つことができます。

それぞれ調査のやり方を紹介しますので、自社で行う場合と依頼する場合とを比較し検討してみて下さい。

自社で覆面調査を行う場合

覆面調査は、調査員が身分を伏せ、一般消費者を装って来店してサービスや接客を受けます。
その上でサービスや店舗内外の清掃状況、接客態度など様々な項目に沿ってチェックを行います。

自社の社員が調査員となる場合、社内の人間には身元がばれている可能性が高いため、完全な覆面調査は難しいと言えます。

そのため費用やその他の事情から、自社で覆面調査を行う場合でも、調査員はアルバイトなど外部の調査員を雇用するなどの対応策は必要でしょう。
その場合も、チェック項目は予め社内で作成し、調査員には事前に目を通してもらう必要があります。

あくまで覆面調査なので、従業員に調査員であることを知られてはいけません。
調査員にはあくまで一般客を装って自然に決められた内容を調査するように依頼しましょう。

調査項目の設定は自社の抱える課題に沿った仮説をもとに作成します。

調査は一度きりではなく、不定期に何度か繰り返すことで、とるべき対策が見えてくるため、調査の都度フィードバックをすることが重要です。

調査会社に依頼する場合

調査会社に依頼する場合、事前に現状の課題や改善要項のヒアリングをした上で、調査を開始します。
具体的な流れを紹介します。

企画設計と仮説立案

覆面調査を行う際は、調査を行う目的となる課題の設定をします。
覆面調査を検討するということは、来店数や客単価の低減、営業成績の低迷などの課題があるはずです。

この課題に対して売上げの向上や店舗間のサービス内容の均一化などの目的も明確にしておきましょう。

さらに重要なのはこれらの課題に対しての仮説も立てておくということです。
例えば店舗の立地がよくない、要員不足により業務過多の社員がいるなどです。

設問設計

上記でヒアリングした課題と仮説を基に、調査会社と一緒に設問事項を設定します。
接客の流れや消費者、お客様と従業員との接点などから、その流れや順番に沿った論理的な設問設定をすることが重要です。

回答方法は〇×での選択、段階的な評価、主観的評価など、設問内容や課題にあった方法を選びましょう。

調査員の選定

これまでにヒアリングした内容から、最適な調査員を選定します。
調査会社により方法はいくつかありますが、多くは調査会社の運営するサイトを通じて登録している調査員の中から選定します。

基本的には調査員の選出は応募順や先着順ではなく、調査内容に適した条件を掲載し、その条件や基準をクリアした調査員からの応募を受付ます。

例えばスーパーや小売店なら主婦層や育児中のママ、居酒屋や飲食店での調査にはそれぞれの客層や知りたい情報を収集できそうな年齢像や属性の調査員を選定します。

他にも住居の所在地や対象店舗への来店頻度、年齢など様々な条件で調査員を募集するので、仮説に基づいた課題の抽出も可能ですし、仮説とは関係の無い想定していなかった課題が浮かび上がることもあります。

調査後レポートの納品

覆面調査に協力してくれた調査員には、調査後にレポートを提出してもらいます。
提出されたレポートは、調査会社の担当者によってチェックされます。

矛盾点が無いか、また改善点や内容が不明または不明瞭な部分は調査員に確認した後、調査レポートとして納品されます。

 

覆面調査の調査範囲

覆面調査で実際に調査可能な内容は、実際に消費者やお客様が、お店で受けるサービスや経験すべてが対象になります。

飲食店では接客時の声のトーンや声量、言葉使い、案内の迅速さなどの人への調査だけでなく、店舗内外やトイレなどの清掃状況や店内の雰囲気なども対象です。
料理の盛り付けや温度、テーブル上のカトラリー類、ナプキンなどの設置状況など、備品などに対する項目も様々です。

小売店などではおすすめ商品などのPOPや陳列の状況、店頭在庫の補充状況や、商品を陳列するパレットや箱なども対象になり得ます。

他には保険代理店やホテル、エステサロンなど主にサービスを受ける場所では、接客内容がより重要視され、受付や従業員などお客様への口調や制服着用時の身なりや髪形などへの調査も細かくなります。

インテリアや家具などの調度品を含めた全体の雰囲気、BGMの選曲や音量に至るまで空間演出に対しての調査も対象になり、空間や場所への調査も加わります。

 

覆面調査を依頼したい場合依頼会社を選ぶ基準はある?

覆面調査を依頼する場合の会社の選定基準を紹介しますので、参考にして下さい。

会社の信頼性

覆面調査は社内の事情や弱点などを調査会社と共有することになるため、情報セキュリティ面で信頼できる会社を選ぶことも大切です。

調査員の数

覆面調査は一般の消費者を調査員として行う場合と、プロの調査員を使う場合とがあります。

プロの調査員が調査を行う場合、接客のメソッドに基づいた調査や判断ができ、一般の消費者が感じ得る感情や感覚を反映した調査になりますが、店舗数が多い場合など大量サンプルが必要な場合には、費用が高額になりがちです。

プロの調査員を使った調査を行う会社もありますが、リアリティのある調査結果やコメントの回収ができる、一般の消費者による調査も一般的です。

多くはそれぞれの調査会社に登録している一般の消費者の中から、条件に合う人の募集をします。

様々な課題にあった調査に対応するためにも、多くの調査員が登録している会社選びをするとよいでしょう。

調査員の研修

調査員は一般消費者なので、調査に関する知識は調査員によってバラバラです。
調査員に選出された人への研修制度や、調査前のテストなどを実施しているかどうかもポイントです。

覆面調査は対象店舗に調査であると知られてはならないため、調査の流れや内容を事前に頭に入れてから調査に臨む必要があります。
特に調査する項目や従業員への声かけなどの有無、小売店などでは購入する商品や金額の指定など条件が設定されていることも多いので、不自然にならないよう頭に入れておく必要があります。

調査員への指示だけでなく調査の精度を高めるための研修や工夫があるかどうかも見ましょう。

レポート提出までの期間

調査会社を選ぶ際は、調査の専門知識や経験もさることながら、調査後に提出されるレポートの提出期間も検討しましょう。

調査後のレポート提出が早すぎても内容の精査がきちんとされているか心配ですが、提出まであまりに時間がかかると、状況や課題に即した解決案を見つけるのも困難になります。
調査後、7~10日程度でレポート提出されるのがよいでしょう。

また店舗ごとや全体、また強みや弱みをわかりやすくまとめられているか、レポートの内容や提出方法もチェックしておきましょう。

 

覆面調査を進める際に注意すること

覆面調査を進める際に事前に知っておきたいポイントを紹介します。
せっかく店舗の運営状況や会社を良くしたいと思って導入しても、逆効果になってしまうことも考えられますので、注意が必要です。

調査を行うことを予め伝える

覆面調査はありのままの現状を把握するという性質から、調査員という身分を伏せて行われます。
しかし調査を導入する経営者や本部にとっては現状把握が目的でも、調査される現場側や従業員は、監視されているという心理が働くこともあります。

また覆面で、さらに日時を伏せて行われることで日常業務の中から犯人探しや粗探しをされているように感じ、本部側に不信感を感じるケースや従業員間で疑心暗鬼になることもあるでしょう。

覆面調査はうまく活用すれば、従業員同士でお店や会社を良くしようと、アイデアや意見を出し合い、建設的で風通しの良い雰囲気を実現することもできます。
ですから覆面調査を導入する場合は、事前に従業員へ不定期に調査が入ることを伝えると良いでしょう。

もちろん日時を伝える必要はありませんが、本部が感じている数字の頭打ち感や業績の低迷、来店数の減少などへの危機感は、少なからず現場も同じく感じていることが多いので、覆面調査の目的は、現状の把握と課題抽出であるという目的とチェック項目を本部と現場が共有することが重要になります。

覆面調査では良い点はさらに伸ばしていくべき項目として、評価されます。
そのため調査の結果、評価の高い従業員については社内での褒賞や人事評価制度への反映をするなど、従業員同士のモチベーション向上につなげるために活用すると良いでしょう。

定期的に複数回行うことで改善要項が明らかになる

覆面調査は1回の調査だけで、課題が明らかになるとは限りません。
定期的に複数回行うことで定点的な調査ができ、取るべき対策が明らかになることも多いため、一度に多くの情報を収集しようとせず、根気よく課題に向き合う覚悟も必要です。

またその際は、調査で明らかになった定点的な数値だけでなく、周辺環境の変化などの情報も加味する必要があります。
周辺に同業の企業や店舗ができた場合や土地開発などにより周辺住民の層が変化することもありますので、数値だけでは判断できない情報も考慮した上で改善要項を立てましょう

自社の調査に強い会社を選ぶ

調査会社はたくさんあり、それぞれに特徴や強みがあります。
プロの調査員を利用している会社や一般の消費者のみを調査員として活用している会社など様々です。

飲食店やアパレル、小売店などそれぞれの調査会社が得意とする業種も少しずつ異なるので、自社に合う会社選びをすることが、改善点を洗い出すためには最も重要になります。

調査会社によっては接客スキルの研修提案など、具体的な改善方法を提示できる会社もありますので、慎重に選ぶようにします。

業種や業界に合わない調査会社に依頼してしまうと、適切な改善点の抽出やアドバイスを得ることも難しくなるので注意しましょう。

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まとめ

覆面調査は従業員の中からミスや欠点を探し出すためのものではありません。
経営側と従業員が目的を共有して、会社をより良い環境にしていこうという意識が大切です。

経営側の感じる危機感は多くの場合、社員であれパートやアルバイトであれ、現場で業務にあたる従業員も同様に感じています。
調査することを完全に伏せておくこともできますが、従業員に告知した上で上手に活用していく方が、従業員全体で改善意識を持って意識改革ができます。

いまいちはっきりしない課題や改善点を明らかにしたい、業績低迷の理由を知りたいという場合は、ここで紹介した覆面調査の実態や流れ・やり方を参考に、自社に合った調査会社選びをしてみて下さい。

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