ミステリーショッパーの調査にかかる費用の相場とは?内訳や削減するコツを紹介
ミステリーショッパーを顧客満足度や店舗運営状況の調査、サービスの浸透状況等の把握だけでなく、競合企業の中から選ばれる存在になるための戦略やブランディングのために利用する企業が増えています。ミステリーショッパーを、集客や売上の底上げにつなげるためのツールとして位置付ける企業にとって、調査費用は必要経費です。調査を依頼する場合にかかる費用についてまとめましたので、参考にして下さい。
目次
ミステリーショッパーの仕事依頼時の費用相場
ミステリーショッパーと呼ばれる覆面調査を依頼するには当然費用がかかりますが、調査結果を踏まえ、集客や売上だけでなく従業員の労働意欲向上につなげたいと考える企業にとっては、必要経費と位置付けています。
特に多くの競合が参入する業種・業界では、サービスや商品の差別化、企業のブランディングなどによって消費者から選ばれる存在となる必要があるため、調査へのニーズが多様化、調査内容も細分化していて、調査の費用相場は約2万円から5万円と幅があります。
業種や業態問わず、単に店舗運営の状況把握を目的にしたシンプルな調査内容であれば、1店舗当たり5000円程度と比較的リーズナブルですが、レストランや居酒屋のような飲食店をはじめ、美容室などのサロンでは、消費者の入店から退店までの一連の中で注文や会計、また従業員のサービスや商品内容の質問など様々なシーンが想定されます。
特定のシーンごとの調査なのか、また入店から退店までの流れの中での具体的な接客レベルの把握が目的なのかなど、目的に応じ1店舗あたり12000円~15000円程度が費用の相場です。
さらにホテルやカーディーラーなどでは、顧客の滞在時間が長くなり、顧客満足度の観点ではサービスの満足度の占める割合も高くなります。このような業種では調査項目も多岐に渡り、中には宿泊を伴う場合もあるため1店舗あたりの調査費用も15000円~が相場です。
ミステリーショッパーを依頼した際にかかる費用の内訳
ミステリーショッパーは調査の内容や結果レポートの報告方法等によっても費用が変わります。
消費者にとっては、どこのお店でも一定水準の商品やサービスを受けることができる時代です。またSNSの普及に伴い、お店の口コミ動画なども簡単に配信、視聴できるため、必要なものを買うというだけでなく、消費行動に対する体験が重視される側面もあります。
こうした背景から店舗の運営実態、従業員の接客スキルや消費者の動向を把握して、よりよいサービスにつなげる企業や、調査結果を従業員にフィードバックし、教育やモチベーション向上に活用する企業など、導入の目的も活用法も様々です。
ミステリーショッパーを依頼する場合には、これらの目的によっても費用が変わると言えます。依頼時にかかる費用の内訳には、規格・調査票の設計費、スクリーニング費用、データの集計や分析費、レポート作成費の他、調査員に支払う交通費等の実査費、運営管理費などがあります。
中でも最も大きな費用がかかるのは、調査員へ支払う費用です。飲食店の調査なら実際の飲食費、スーパーなどの小売店でも実際に商品を購入する際の費用がかかります。調査先までの交通費は負担するかどうか選ぶことも可能ですが、調査対象の地域によっては調査員の集まりに影響が出る場合もあります。
また単価の高いお店の場合や、調査対象がホテルで宿泊費が必要など、調査員ひとりに支払う費用が高額になる場合はさらに、調査費用がかさむことになります。
調査員ひとりあたりの調査費用や謝礼は2万円程度が相場ですが、通常、数十から100店舗の調査対象となるケースも多く、調査員に支払う謝礼の占める割合は、依頼費用の大部分とになります。
スクリーニング費用も調査の依頼内容によって変動しやすい部分です。スクリーニング費用は、調査の内容や目的に応じた調査員の選定にかかる費用で、年齢や家族構成、調査をする時間帯の指定など、特定の条件やより複雑な条件で調査員の選定を求めることで、費用が上がることもあります。
サービス業など高度な接客スキルやホスピタリティーが求められる業界での調査では、オプションでキャビンアテンダント経験者を調査員に選定できる場合もあり、こうしたオプション選定時にも別途費用が必要です。
他にかかる費用の内、企画・調査票の設計費や調査後のデータの集計・分析費用も重要な部分です。どんな内容を調査し、何を知りたいのかによってアンケートや調査の方法、調査員の選び方も変わるため、調査会社との打ち合わせを経てじっくり検討します。
また調査終了後のデータ集計や分析についても、実際の調査結果をそのまま経営に結び付けるのは意外と難しいため、調査会社にさらなる分析を依頼し経営判断に活用できる形でフィードバックをもらえることが望ましいでしょう。
それぞれの内訳ごとに費用が提示される場合もあれば、調査1案件に対しての費用提示の場合もありますが、重要なのは知りたい内容が調査されるかどうかです。調査結果を経営や改善のジャッジに活用する目的があるなら、より慎重に調査会社との打ち合わせを行い、その上で調査を依頼しなければ、費用に対しての効果を見込めない結果になりかねません。
依頼費用を削減するコツ
ミステリーショッパーの利用を検討するということは、自社の現状を把握し改善要項を見つける目的や、従業員の労働意欲、モチベーション向上に活用する狙いがあるということでしょう。
しかし大手であるほど店舗数が多く、それだけ調査員を多く集める必要があるため、調査費や謝礼もかさみます。では、どのように依頼費用を抑えれば良いでしょうか。いくつかコツを紹介します。
サンプル数や調査店舗数を限定する
できれば全店舗の状況を調査したいところですが、ミステリーショッパーは調査店舗数によって費用が変わってきます。
また調査結果を経営状況や改善に活かすといっても、一度の調査ですぐに何かが変わるものではありません。複数回に渡って調査を行うことで、少しずつ効果を実感できることが多いため、一度に多くの店舗を調査するのではなく、予算に合わせてエリアを絞るなどの工夫が必要です。
調査内容をシンプルにする
できれば多くの項目を調査したいと思いがちですが、調査項目が多岐に渡るほど、調査員への謝礼が増え、調査後の集計やレポート作成費もかさみます。
シンプルにしすぎても費用に対する効果が薄くなるため問題ですが、本当に知りたい項目に限定して調査を依頼することも重要です。
また調査会社へどこまで詳しい分析を依頼するかも、きちんと検討しておくべきです。あまりに詳しいレポートを求めると当然費用がかさみますが、調査やアンケート結果を簡単なグラフにまとめ、コメントや見解を付したものでも十分な効果が見込めることもあります。
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お金をかけて調査するメリット
店やサービスの現状をチェックする方法としては、スタッフたち自身の自己評価、上司によるスタッフの評価という方法があります。こちらは、サービス向上を目指す店であれば、やっていて当然です。これに加えて、覆面調査を行うのにはどんなメリットがあるのでしょうか。
覆面調査は第三者機関である調査会社が行います。調査員は、一般的な感覚を持つ消費者です。身内ではなく、他者の目から見てもらうことで、今までに気づけなかった新たな発見があるでしょう。それは、今後も伸ばしていくべきその店独自のよいサービスであったり、改善すべき点だったり、良い面も悪い面もあります。いつも同じ店に通い、同じ仕事をしているスタッフ同士では当たり前で気づけないことが見つけられます。
また、スタッフには調査員であることを知らせずに調査を行います。お店としては、その時によって、サービスの質に差が出てしまってはいけません。どんな時でも均一の品質のサービスを提供できるように、多店舗ある場合は店ごとにサービスの違いがでないように、同じ基準で多くの店舗をまとめて調査することが可能です。
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まとめ
近年は、どこでもほぼ同等の商品やサービス提供が受けられ、ネットスーパーのように店舗に赴くことなく、目的のものを手にすることもできます。
だからこそ消費者にとってもサービスを提供する企業にとっても、わかりやすい差別化が求められ、ミステリーショッパーへの調査依頼件数も増えています。
調査には相応の費用がかかりますが、それだけの費用を投じても他社との差別化を図ることで、閉塞感や頭打ち感を打破したいという狙いがあります。
調査の依頼費用を中心に紹介しましたが、費用価格だけで判断するのではなく、だれのために、どんな目的で依頼するのか?そこを明確にし、調査結果やフィードバックを活かすことで差別化・独自化へ繋げるカギにして頂ければと思います。